2020年8月22日放送分「DTx:デジタルセラピューティクス」
2020.08.22

パーソナリティ
一文字 弥太郎さん

アシスタント
岡 佳奈さん

レスコ出演者
代表取締役 藤川 佳應

DTx:デジタルセラピューティクス
デジタルセラピューティクス。これはどういう意味ですか?
通称「DTx」と呼ばれていまして、デジタル治療の事ですね。
デジタルで治療をするという事ですか?
そうですね。まさにIoTとかデジタル機器を使って行われる治療の事をいいます。
以前お話頂いたオンライン診療とは違うという事ですか?
違うんです。勘違いされやすいのですが、オンライン診療は、医師による対面診療の代わりにWebのオンラインアプリを使って診療・診察を行う事ですが、このDTxは診療時間外に患者さんがスマホアプリなどを使う事によって介入していくものです。皆さんも健康記録などをスマホで登録されたりする事もあると思うのですが。
やっていますよ。ダイエット日記とか。
そうゆうものとも違って、まさにアプリを使って自分に治療をしてくれるものです。
スマホに入れたアプリで治療とは、具体的にどういう感じなのですか?
日本でもやっと初のDTxのアプリケーションが出る予定になっています。
タバコを吸う方々、ニコチン依存症を治療してくれるアプリがまもなく市場に出てくるかと思います。
どうやって治療していくのですか?
最近はタバコをやめようというとき、禁煙外来に行かれると思うのですが、そこで先生方の指示が出た場合、処方箋がちゃんと出るんです。ニコチン依存症の治療用アプリが処方されまして、治療アプリを使うためのコードが患者さんに渡されるので、そのコードをスマホのアプリに入れて使えるようになるんです。
ニコチン依存症治療用アプリの場合は、今日はタバコが吸えなくて気分が悪いとか、気持ちが悪いとか、そういう事を自分で記録をするのと、あとは携帯型のCOチェッカーが渡されるので、それがスマホとBluetoothで連携されていて、自分で息をチェックすると一酸化炭素量が測られて、スマホに登録されて、先生のところにデータが届くんです。
それに基づいてスマホがいろいろとアドバイスをしてくれるんです。
でも逆に考えたら、禁煙外来に行っても、結局1人になったら意思が弱くてダメだったってあるじゃないですか。
今はお薬の治療もありまして、私の会社の部下も先日からタバコをやめていますが、薬による治療はすごく効果はあるのですが、タバコを吸う方々の心理的な依存、そこをスマホアプリが軽減してくれるという事ですね。
例えば「タバコ吸いたいなぁ」ってアプリに入れるんですか?
はい、そうなんです。「タバコを吸いたくなった」と入れると、スマホアプリ側が「何で吸いたくなったんですか?」と聞き返してきまして、これに答えると、例えばスマホアプリ側が「辛いですよね」と共感してくれたり、タバコを吸いたい気持ちを紛らわせるために「お部屋のお掃除でもしてみましょうか?」みたいなアドバイスをしてくれるわけです。
こういう心理的なものだけじゃなくCOチェッカーが届いて、実際の日々の生活データも測定できると、お医者さんの前だけ「やってるんですよ」って嘘をつく事も無くちゃんと治療できる感じがしますよね。
これが日本で初のDTxとして、厚生労働省もOKを出したという事ですよね?
薬事の規制当局のチェックも受けて、出てくるといわれていますね。
効果も出ているのですか?
さっきのニコチン依存症の事でいくと、治療期間が終了したときの禁煙率についてデータを取ると、やはりDTxを使用したほうが約13.4%、アプリを使わない人よりも禁煙の効果が出ているというエビデンスがあるんです。
一文字さんが仰っていたように、スマホだからずっと隣で一緒にいてくれる感覚ですものね。
日本でこれから初のDTxアプリができるという事ですが、海外では進んでいるのですか?
アメリカは10年前に糖尿病患者向けの治療補助アプリが出ていまして、例えば喘息治療とか、薬物依存の治療だとか、そういったところにも領域が広がって、いろいろな種類のDTxが出てきているという事ですね。
糖尿病に関しては、食べる事の制限があって、やはり心理的な部分があったりするので、そういうところにDTxが使われるケースが多いですね。
ニコチンもそうですけど薬物依存などになると、こういうアプリは今まで以上に注目されるでしょうね。
そうですね。DTxの一番の効果は、患者さんの行動をどう変えるか、というところに非常に効果があると言われていて、やはり時間外に患者さんたちが病気の事で抱えてしまう心理的な問題について支援をしていく役割をDTxは担っていくと言われていますね。
医療はコロナ禍でますますデジタル化されると言われていますが、藤川社長がこのDTxに期待する事、こんな事がちょっと心配だなと懸念する事はありますか?
1つは我々のやっているデジタルヘルスと呼ばれる業界に新しい種類のものが出てきた事で、私としてはワクワクしています。
今までのような病院の方々の業務を効率化していくための道具であったり、情報共有をしていくための道具ではなくて、治療に関わっていく中にICTとかIoTが入ってくる事で今後いろいろな可能性があるのではないかと思います。
特に今ソーシャルディスタンスと呼ばれている時代ですから、非常にDTxの役割はこれから大きくなる可能性があると思いますね。
今のところリスクは思いつかないのですが、かといって先生方の対面診療が減っていくわけではないですし、むしろDTxの登場によって、先生方に見てもらう時間がより濃密なものになっていく事は良い事ではないかなと思いますね。
データがそこに蓄積されるわけですからね。日本はこれからニコチン依存症治療用のアプリがスタートするという事ですが、他にも広がっていきそうですかね?
10年前にDTxが認可されたアメリカで、実際の治療効果のある新しいDTxが日本にも入ってくると聞いています。すでに日本の大手製薬メーカーさんなどがアメリカのDTxメーカーさんとライセンス契約をしているという事ですから。
例えばADHDの治療アプリだとか、自閉症の方々向けの治療アプリが、そんなに遠くないタイミングで日本にも入ってくると思います。
藤川社長の話を聞いていて驚いたのですが、そういうアプリを日本の製薬会社が出すという事ですか?
そうですね。
今後注目していきたいですね。
実際にお薬を作るよりもはるかに低コストで作れるという事も大きなポイントのようですね。