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2020年5月23日放送分「虐待リスクのチェックリスト」

放送日:2020年5月23日(土)

パーソナリティ
一文字 弥太郎さん

アシスタント
岡 佳奈さん

レスコ出演者
代表取締役 藤川 佳應

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虐待リスクのチェックリスト
虐待リスクのチェックリストとは

虐待のニュースはステイホームの間いろいろ出ていましたね。

増えましたね。

虐待やDVが問題になっていますが、「虐待チェックリスト」というのはどういうものですか?

いわゆる児童虐待に関する早期の発見を目的として、健康診断の時にこのチェックリストを利用することを学校に対して求めているということですね。
参考虐待リスクのチェックリスト – 広島県

高齢者の虐待チェックリストもあるのですか?

ありますね。福祉施設なんかでも、悲しいことですけども虐待という問題が起きるということで、高齢者の虐待防止に向けたセルフチェックリストというものもありますね。

チェックするところが文章化されているわけですね。これが作られた背景というのはどういった所からでしょうか?

もともと児童虐待のチェックリストについては平成30年に、覚えておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、東京都目黒区で女児の虐待死事件が起きまして、それがひとつのきっかけとなって児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策が、平成30年7月に決定され、それに基づいて児童虐待早期発見のためのチェックリストの運用を各学校で設定するようにという通知が出ています。

今まではチェックリストがなかったから、マニュアルとしてうまく機能してなかったけれども、全部制度化、システム化にしていこうということですね。

そうですね。虐待というものを把握するための目安として使ってくださいということですね。

どんなチェック項目があるのですか。

チェックリストの中身は大きくは3つの領域と9つの参考事項で構成されていまして、1つ目は「お子さんの様子」に関するもの。2つ目は「親御さんの様子」に関するもの。3つ目は「お子さんの家庭環境」に関するもの。という3つに分かれています。

専門家でない先生だけでは受け止めきれないから、藤川社長がよく言われている色々な連携がますます大事ですよね。

そうですよね。学校だけでは解決できないですし、地域社会で支えていく事がとても大事だと思います。

「お子さんの様子」は、どんなチェックリストがあるのですか?

私も小さいころにありましたけど、腹痛が反復したり、「不定愁訴」という言い方をしますけど、原因はよくわからないけど気分が悪いと訴えるとか、夜尿症といったようなものやお子さんの見なりとか衛生状態をうかがい知るようなものですね。
その他、学校の中で孤立しているようだとか、他のお子さんに対してかなり攻撃的に振る舞うとか、そんなことをチェックできるような内容が含まれていますね。

それを見て先生が気づいていくのですね。2つ目の「親御さんの様子」というのは?

厳しすぎるしつけや面談したときにお子さんに対して「こうあるべき論」がすごく強い親御さん、そもそも親御さんご自身にアルコールも含めた依存症みたいなものが見受けられる場合などがチェックできる項目になっていますね。

子どもさんは、健康診断のときにチェックするんですけど、親御さんに対しては保護者の懇談会のようなところでチェックするのですか?

そうでしょうね。親御さんとの接点の中で、成績表を渡す時とか親御さんと会われたりしますけど、そういうときでしょうね。

「お子さんの家庭環境」に関するというのは?

たとえば家族間で暴力が振るわれていたり、あまり仲が良くないとか、我々精神科医療に携わる方々もよく言われますが、家中がゴミだらけとか、引っ越しが多いとかですね。まさにおうちの環境のことですよね。

チェックリストがあることで、明文化されていたらチェックしやすいので、無いよりも絶対あったほうが良いですよね。

はい。虐待に対してのノウハウなど先生方自身が講習を受けることも必要ですが、こういう明文化されたものがあるとチェックしやすいと思いますね。私も見たのですが、自分がどうかな?と、ちょっと振り返る機会にもなったりしました。

逆にそのチェックリストからね、厳しすぎる親じゃないか?とかね。

自分が子どもにそうなのではないか?とかですね。

ステイホームのこの時期に生活音とか言っていますが、子どもの泣き声が昼間に聞こえたりというのがあるので、私たちの中にもチェックリストがあると良いなとちょっと思いました。

そうですよね。自分の子どもに対する振る舞いとかを少し客観的に見ることに使えたりしますしね。

今もう虐待チェックリストは広島の学校に配布されているのですか?

そうですね。私たちがこのチェックリスト知るきっかけになったのも、広島県の行政とやり取りをしている中でこういうものが出てきたものですから、いろいろ調べてみると興味深い仕組みですね。

今後の課題

一方でこの虐待チェックリスト、虐待の問題は貧困とか他の社会問題とも複雑に絡み合っているからこれだけ作ればOKではないですもんね。

はい。さっき9つの事項と申し上げましたが、一文字さんがおっしゃられたような、家庭の経済的な困窮度合いだとか、または親御さんご自身がどういった家庭環境の中で育ってきたのかといったところも、虐待の因子になる可能性があるようで、そういった事項も含まれていますね。

躊躇なく虐待の子どもを救おうと言われていますけど、なかなか難しい現実があるようですね。

難しいですね。どうしても他のおうちの中の話なので、そこに介入しづらいというのはありますが、今回チェックリストが病院で運用されるきっかけとなった、先ほどの緊急対策の中身を見ていると、一番の優先は子どもたちの命の安全ということですから、そこを最優先して誰もが躊躇なく介入していこうということが明文化してあるというのはとても印象的だったですね。

センセーショナルな事件があると必ず「どこかで救えたんじゃないか」というようなことをよく言いますが、学校で虐待チェックリストがあると聞いてちょっと安心したのですけど、今虐待の相談件数は多いのですか?

私が調べたデータが2016年のデータで、児童虐待の相談件数が12万件を超えているので、今2020年でおそらくまた増えているでしょうね。2016年の時点では5年間で倍増しているということなので、今もなお年間80人ぐらいのお子さんたちが虐待ということで命を失っているということは非常に悲しいことですよね。

そんなにですか。学校、地域、私たちも含めて、子どもを守ることを考えないといけない時代ですね。

そうですね。この番組の中でも少しご紹介させていただいた、ひきこもりなど、いろいろな問題がありますけども、虐待という問題と同様に、家庭の抱える非常に複雑な、それも多岐にわたる問題が大きな原因になっているケースが多くて、やはり解決するためには相当多種多様な専門家たちの力を借りて、一つ一つの問題を紐解いて解決していかなければ、なかなか無くすことのできない問題だというのは思い知らされますので、本当に難しい問題ですね。